基本情報を手にいれろ!
こんにちは。肩関節周囲炎に続いて、今回は「腱板断裂の保存療法」について、説明していきたいと思います。
肩関節疾患の2大疾患の1つで、保存療法はとっっても難しく、難渋することも少なくありません。
なんたって腱が切れてるんですから・・・
でも、リハビリが成功すると手術を回避できるという、なんともやりがいのある疾患でもあるんですよ!
だから皆さん頑張りましょう。
教科書なんて難しいことばっかりふんわり書いていて
実際の臨床はどうやねん!
とか思うと思います。
私は数多くの腱板断裂をみてきました。その経験を皆様にも伝えて、参考にしていただければ嬉しいです。
では、さっそく入っていきましょう。
腱板断裂と診断名がついた患者がきたらまずはカルテをみます!
患者をまだ見ていないのに情報ばかり入れすぎても先入観が入りすぎるだけです。
必要なとこだけささっとみましょう!必要なのはこの3つです。
1.受傷機転は外傷性か非外傷性か
2.レントゲンで上腕骨頭と肩甲骨位置を確認
3.エコーかMRIの断裂部位と炎症所見
もっと見るべきポイントは多くありますが、まずはこれで十分です。では1つ目からいきましょうか。
受傷機転は外傷性か非外傷性か
外傷性とは「こけた」とか「何かでうったとか」とで、非外傷性は「とくにきっかけなく、ふいに痛くなった」とかのことをいいます。

何がいいたいかというと
「一発で壊れた」か「経年劣化で壊れたか」どっちなの?
ということです。
「一発で壊れた」場合は高エネルギーがかかってるので、炎症が強かったり、筋の過緊張が強かったりする可能性があるため丁寧に肩を触らなければなりません。
一方で、断裂腱板以外の機能に関してはそれほど機能低下を起こしていない可能性があります。
「経年劣化で壊れた」場合は、断裂している腱板だけでなく、肩甲骨周囲の可動性や筋力、残存腱板の筋力、姿勢などが長年をかけて複合的に機能低下していることが多いんです。

肩の動きはチームプレーです。誰かがサボると誰かに負担がかかります。腱板が断裂した原因は誰か他のやつがサボってた結果と考えていいでしょう。
さらに、外傷と違って非外傷はすぐに病院を受診することは少なくしばらく様子をみる人が多いんです。だから二次的な廃用も生じて、さらにいろんな機能が落ちるんです。だからいろいろみないといけないんです。
でも考えてみてください。
もともと回りの機能が弱かった結果、腱に負荷がかかったとすれば、回りの機能を高くすれば十分よくなる可能性があります。
つまり、断裂腱がしてた仕事を回りがこなせるようになると改善する余地があるということです。
まさしく、リハビリの腕の見せ所です。
では外傷は??
そうです。もともと回りの機能は問題がなかった可能性が高いです。なので非外傷性と比較して手術になる可能性は高いです。
その中でも、しっかり機能低下を起こしているところを見つけて介入する。
また、1つ1つの機能がいいのなら、もっと細かく戦術(筋のバランス)を考えていかなければなりません。これはまた後ほど書いていきます!
高エネルギーにより筋の過緊張が生じていることが多いです。なので過緊張と炎症さえうまくコントロール出来れば痛みが引く場合も多くあります。
ん、こんな受傷起点ないですか?
「腕を伸ばしたときに痛みがでたのがきっかけです」
「荷物を持ったときに痛みがでたのがきっかけです」
これは外傷?非外傷?そうです。これはそのあいだです笑
解釈は多くできますが、私は
「経年劣化でもともと弱ってたところに最後の一押しがかかって切れた」
と解釈することが多いです。なので外傷、非外傷の両方を考慮しますが、非外傷よりととらえますね。
まとめ
外傷は過緊張と炎症をコントロールして、より回り機能がバランスよく力が発揮できるようフォーメーションを鍛える
非外傷はとにかく回りの機能低下を起こしている機能を見つけて、残存腱板の代わりができるようにする
こんな感じです。考え方の違いです。やることは似かよってきますが、頭にいれておいてください。
レントゲンで上腕骨頭と肩甲骨の位置
次は肩のレントゲンです。見るのはここだけでいいです。
1.上腕骨頭の上昇化がある
2.内転拘縮があるか
他にもいっぱい見るとこありますけど、あんまり仮説ばかりたてすぎても大変なのでこれで十分です。
では1番からみていきましょう。
結論からいうと、上腕骨頭の上昇化で、腱板断裂の程度と挙上時にインピンジメントしやすいかどうかが推察できます。
上腕骨頭の上昇化をみるにはこれをみてください。

これをモロニーズアーチ(肩甲上腕弓)といいます。
このラインよりも上腕骨頭が上にあれば上昇化、下にあれば下降化(脱臼など)です。
簡単でしょ。
腱板は上腕骨頭と肩峰の間にありますから断裂していると骨頭は上昇化することになります。
臨床的には
「骨頭が上昇化してるぞ、やっぱり腱は痛んでるかもな」「これは挙上時にインピンジメントしやすいかもしれないから、気をつけないと」「上昇化してるから、上腕骨頭を下降させる筋肉の機能をみておかないとなぁ」
みたいな感じになるわけです。これでOk。
次は肩甲上腕関節の内転制限があるかどうかです。肩甲骨関節窩の上縁と下縁を通る直線と上腕骨の長軸の位置をみてください。

簡単です。肩甲が下方回旋しているかどうかをみるんです。下方回旋していると相対的に肩が外転位にあることを意味します。

つまり、肩甲上腕関節の上方組織が拘縮し内転拘縮がある可能性が高いです。これがあると夜間痛が出現したり肩甲下圧が高まり、いろいろ痛みがでやすくなりますので注意が必要なんです。
臨床的には
「健側と比べて、肩甲骨が下方回旋してるぞ、これは上方組織が固くて、内転拘縮があるかもしれない。夜間痛に注意だ」
となるわけです。
まとめ
腱板断裂のレントゲンで見るのはこの2つでいいです。
・肩甲上腕弓でインピンジメントしやすいかどうか
・肩甲骨の位置で内転拘縮を
これだけわかれば、もう十分。
さて最後いきましょう。
エコーかMRIの断裂部位と炎症所見
患者をさわる前の、最後の段階です。
だいたいほとんどの整形外科は腱板断裂の検査はレントゲンで終わることが多いでしょう。
でもレントゲンでは実際に腱板は写りません。「たぶん切れてるだろう」という感じです。微少な腱板断裂なんかはレントゲンではわかりません。
レントゲンで異常がなかったら五十肩、いわゆる肩関節周囲炎と診断されます。でも待ってください。実は切れてたら?
肩関節周囲炎と腱板断裂のリハビリは全く違います。だから約束してください。レントゲンで診断されて、そのあとリハビリをする方は、
腱板断裂の有無の評価を必ずとって、「腱板断裂かもしれない」と疑ってリハビリをしてください。
じゃないと、悪化する恐れがあります。
さて、ではエコーとMRIについて触れていきましょう。
最近はPT.OTがechoをとって評価することが増えてきました。でもこれは上級者です。出来なくてもあせらなくて大丈夫です。
しっかり、Drが記載してくれているechoとMRIの結果をみましょう。
この2つでみるポイントは2つ
・断裂部位はどこなの?
・炎症所見はあるの?
この2つだけです。これをDrが記載してくれていれば、もう読影しなくても大丈夫!(もっと上を目指す人は読んでくださいね)
断裂してる部位を確認することで動かしていい腱板がダメな腱板かがわかります。
よくこんな質問があります。
「きれてる腱は動かさない方がいいんでしょうか?」
とっっっても困る質問です。答えは1つ。
「その人の人生次第」といったところです。
例えば思い浮かべてみてください。
あなたはとある野球チームの監督です。エースのピッチャーが肩の怪我をしてしまいました。痛いながらも投げることはできます。ちなみに明日は試合があります。
さぁあなたは明日の試合どうしますか?
「怪我をしてるんだから休ませて、他のメンバーに頑張ってもらおう」
これが普通の考え方です。
でも明日の大会が優勝のかかった決勝戦だったら?
悩みますよね。答えはなさそうです。
高校野球野球の決勝かプロで引退間近の決勝戦か。
はたまた、これによっても変わってきます。
腱板断裂もおなじです。基本は使いたくないです。きれてるんだから。使えば使うほと切れていきます。しかも腱は修復することもありません。進行する一方です。
では、この場合は
「80代男性。手を挙げて洗濯を干せるようになりたい」
断裂腱以外の介入をしたけどなかなか手が上がらない。
断裂腱に収縮をかけても痛みはない。明らかに痛みの原因は断裂腱でなく、インピンジメントが原因である。これなら私なら少しずつ練習してみる「かも」しれません。悩みながら。痛みが増悪したときの責任はPTにはとれません。しっかり悩みながら介入しましょう笑
疲れましたねぇ、文字ばっかりなってしまって後悔しています笑

最後は炎症があるかどうかですね。
炎症所見を確認することで
「今積極的にリハビリ介入していいのか悪いのか」
がわかります。炎症があったらまず安静が大事です。炎症部位を動かさずに、患部外、安静指導が基本です。

炎症あるのに動かすと痛くてきらわれますよ笑
ふ~つかれましたね。
おっと、最後によく聞かれる質問。
「手術するかどうか」
原則3-5ヵ月程度とリハビリして改善なければ手術が検討されます。
逆によくなる人はそれくらいで効果がでるということです。
ただし、年齢が60歳とか若い場合、外傷などの場合、スポーツ復帰など目標が高い場合にはすぐにすることもあります。だって、どんどん廃用がすすんでいきますから
若い人はこの先いつか痛みがでる可能性が高いし、腱が再生することはないので早めにやっちゃうことも多いです。
まとめ
echoやMRIで炎症所見、断裂腱を確認し、
・今は患部を動かしていいのか
・どの腱を動かしていいのか
これを確認して、リハビリに向かいましょう!!
次回は「患者にはこう説明するんだ」です!
お楽しみに